鬼平犯科帳'81

鬼平犯科帳’81 密告

鬼平犯科帳(萬屋錦之助版)・第2シリーズ(鬼平犯科帳’81)・第18話:密告
初回放送:1981年8月11日

密告・あらすじ

ある夜、久兵衛(九段下で酒と田楽の屋台を出しているおやじ)が女の客に頼まれたと、一通の手紙を役宅に届けにきた。
女は初めてみる客で、年の頃は四十前後、垢抜けのした女で、手紙を渡すと、すぐさま立ち去った。女は左足をひきずっていた。

その手紙には、「こんや九つはん ふかがわせんだいぼり かまくらやにおしこむ ぬすっと十一にん」と書かれていた。密告状だったのだ。
ただちに平蔵は、役宅にいるもの者を総勢引き連れてでばった。

盗賊改方役宅の清水門外から走り続けて、深川へ入り、仙台堀。
仙台堀は、大川口から砂村まで続いている堀川で、この夜押し込みのあるという鎌倉屋儀平の店は、仙台堀深川今川町の角地にあった。

平蔵たちが近くまで着くと、見張りが二人いた。密告は本物の様だ。
平蔵は、裏手への手配が終わったことを確認すると、一気に馬を走らせ鎌倉屋に踏み込んだ。
盗賊たちは抵抗したが、伏屋の紋蔵と一味の者5名を捉えた。後の5名はやむなく切り捨て、見張りの男一人は取り逃がした。

平蔵は、伏屋の紋蔵の顔に見覚えが有るような気がしたので、相模の彦十をよび、紋蔵の顔を確認させた。
彦十は、殿様小平太そっくりだと言う。

平蔵は、20年以上前に、中間部屋の博打場で横山小平太に出会っていた。引き合わせたのは彦十だ。
百俵取りの後家人だったが、身を持ち崩し、ごろつきと付き合っていた。労咳病みで、冷酷な男でだったが、一時は気の合う仲間で、そのころ本所では、小平太と平蔵は、悪さの棟梁だった。

23年前のこと。深川平野町の陽岳寺(ようがくじ)門前、富岡橋北詰に車屋という茶店があった。そこで働くこ女お百という小女(こおんな)を、平蔵は妹のようにかわいがっていた。平蔵と境遇が似ていたのだ。

その、16の少女に、小平太は手をつけ、妊娠させた。
身よりのないお百が、小平太にどうしたらいいかと相談すると、小平太は子が流れるよう、お百を石段から突き落とし、さらに腹を蹴るなどするしまつ。
お百は、足を引きずるようになってしまった。

それを知った平蔵は小平太を呼び出し、小平太の左腕をへし折ると、お百に渡すと二十両の金を渡させた。
その小平太は、後に労咳で死んだのだった。

お百はなんとか子を産んだ。そして上総(かずさ)の飯野(いいの)で傘屋をやっている富三の後添えになり、江戸を去った。

そのお百と、今から五年、平蔵は偶然江戸であった。盗賊改めになったばかりの頃だ。
お百は二年ほどで不縁になっており、子は18になっていた。江戸を去る時に、平蔵があげた簪をいまでも大切にしていた。
五鉄で一時ほど過ごして別れたが、お百は今暮らしも、我が子の事も語らなかった。住まいは言ったが、後にそこには住んでいない事がわかった。

お百と小平太はの間に産まれた子が伏屋の紋蔵。密告の手紙を渡して去った女はお百。平蔵は確信した。

平蔵は伏屋の紋蔵を庭先に連れてこさせ、父の名を知っておるかと訪ねたが、紋蔵は知らなかった。
その紋蔵に、平蔵は自分が父だと告げたのだった…



オープニングクレジット

プロデューサー:片岡政義、市川久夫、中岡潔治
原作:池波正太郎(文藝春秋刊)
脚本:星川清司
音楽:木下忠司

キャスト

長谷川平蔵:萬屋錦之助
久栄:三ツ矢歌子
佐嶋忠介:高松英郎
木村忠吾:荻島真一
松永弥四郎 柴田侊彦

大東梁佶
大沢萬之价
福岡正剛
柿崎澄子
加藤茂雄
太田政和
徳比呂志
内田哲平

ナレーター:小林昭二
殺陣:松尾玖治、錦燿会

伏屋の紋蔵・横山小平太:佐藤仁哉
お百:赤座美代子
おまさ:真木洋子
酒井祐助:目黒祐樹
相模の彦十:植木等

監督:大洲齋

エンディングクレジット

スタッフ

撮影:伊佐山巌
照明:内田皓三
録音:谷村彰治
美術:鳥居塚誠一
制作 小島高治
編集:大高勲
整音:T・E・S・S
選曲:宇賀神守宏
効果:東宝効果集団
助監督:是沢邦男
色彩計測:淵野透益
記録:中田秀子
タイトル:鈴木日出夫
演技事務:田中忠雄
俳優管理:田原千之右
制作進行:長沢克明
進行:加納譲治
制作宣伝:納村達夫
装置:横山英一
装飾:清水晋冶
美粧:鵜飼威志
技髪:川口義弘
衣裳担当:福田明
大道具:東京テレビアート
小道具:高津映画装飾
衣裳:東京衣裳
かつら:川口かつら
現像:東洋現像所
プロデューサー補:菊池昭康
協力:生田スタジオ
制作:テレビ朝日、東宝株式会社、中村プロダクション